中和滴定で使う指示薬の種類と使い分け

この記事では、中和滴定で使う指示薬の使い分けについて解説します。
指示薬は『フェノールフタレイン』『メチルオレンジ』の2種類の使い分けを紹介します。

中和滴定で使う指示薬について、イラストや画像、グラフを使いながら分かりやすく解説します。

中和滴定とは?

中和滴定とは、中和反応を利用して濃度不明の酸や塩基の濃度を調べる方法です。

酸の濃度を調べる

酸の濃度を調べるには酸に塩基標準液を滴定していき、当量の中和を起こさせます。
中和で使用した塩基の使用量から酸の濃度を算出することができます。

塩基の濃度を調べる

塩基の濃度を調べるには塩基に酸標準液を滴定していき、当量の中和を起こさせます。

中和で使用した酸の使用量から塩基の濃度を算出することができます。

当量の中和を判断するために指示薬を使います。
指示薬は特定の濃度で色が変化するので、色の変化で中和したことをしることができます。

指示薬の種類

指示薬は一般的に使われている『フェノールフタレイン』と『メチルオレンジ』の2種類について説明していきます。

中和滴定で正確な結果を知るために指示薬の使い分けが重要になります。

フェノールフタレイン

フェノールフタレインpH8.3~pH10に変化域があり、この範囲よりも酸性側なら無色、塩基性側なら赤色に変色します。
※pHとは、酸と塩基の濃度を0~14で表した数値。

メチルオレンジ

メチルオレンジはpH3.1~pH4.4に変化域があり、この範囲よりも酸性側なら赤色、塩基性側なら黄色に変化します。

中和滴定曲線と変色域

酸と塩基を中和滴定させたときに起こっているpHの変化を表したグラフを『中和滴定曲線』といいます。

強酸水溶液に強塩基水溶液を加えた滴定でのグラフをご覧ください。

赤点のpH7を中心に激しい変化が見られます。この変化を『pHジャンプ』といい、これを利用することで指示薬の『フェノールフタレイン』や『メチルオレンジ』が中和点で変色します。

酸と塩基の濃度の組み合わせによって中和滴定曲線が変化するので、指示薬を使い分ける必要があります。

指示薬の使い分け

酸と塩基の組み合わせは4パターンあります。
それぞれの中和滴定曲線から使用できる指示薬をみていきましょう!

パターン① 強酸+強塩基  (フェノールフタレイン、メチルオレンジ)
パターン② 弱酸+強塩基  (フェノールフタレイン)
パターン③ 強酸+弱塩基  (メチルオレンジ)
パターン④ 弱酸+弱塩基  (中和滴定での測定はできない)

パターン① 強酸+強塩基

『フェノールフタレイン』、『メチルオレンジ』どちらも使用可能です。

pHジャンプが『フェノールフタレイン』の変色域にも『メチルオレンジ』の変色域にもかかっているので、どちらも使用可能です。

パターン② 弱酸+強塩基

『フェノールフタレイン』が使用可能です。

pHジャンプが『フェノールフタレイン』の変色域にかかっています。
『メチルオレンジ』の変色域ではpHが緩やかな曲線なので、変色タイミングを見極めることができません。

パターン③ 強酸+弱塩基

『メチルオレンジ』が使用可能です。

pHジャンプが『メチルオレンジ』の変色域にかかっています。
『フェノールフタレイン』の変色域ではpHが緩やかな曲線なので、変色タイミングを見極めることができません。

パターン④ 弱酸+弱塩基

中和滴定での濃度測定はできません。

『フェノールフタレイン』、『メチルオレンジ』ともに緩やかな曲線になっているのでこの組み合わせでは中和滴定での濃度測定はできません。

中和滴定をする時は、濃度不明の液体か滴定する液体が強酸か強塩基である必要があるので注意が必要です。

まとめ

中和滴定とは、濃度不明の酸や塩基の濃度を調べる方法です。
中和に使った濃度既知の酸または塩基の量から濃度を算出します。

酸と塩基を中和滴定させたときに起こっているpHの変化を表したグラフを「中和滴定曲線」と言い、pHが中性のとき曲線が激しくジャンプすることを「pHジャンプ」と呼びます。

pHの変化で色が変わる指示薬「フェノールフタレイン」と「メチルオレンジ」を使うことで、中和点を知ることができます。

指示薬は酸と塩基の組み合わせによって異なります。
パターン① 強酸+強塩基  (フェノールフタレイン、メチルオレンジ)
パターン② 弱酸+強塩基  (フェノールフタレイン)
パターン③ 強酸+弱塩基  (メチルオレンジ)
パターン④ 弱酸+弱塩基  (中和滴定での測定はできない)

パターン④の弱酸+弱塩基の組み合わせでは中和曲線が緩やかなので、中和滴定での濃度判別ができません。
濃度不明の液体か滴定する液体どちらかは強酸か強塩基である必要があります。

中和滴定で正確な結果を得るためには、指示薬の種類、選び方、使い方を理解することが重要です。この記事を参考に、適切な指示薬を選び、正確な滴定を行いましょう。

 

 

 

投稿者 ビビット

アニメ好きのしがないサラリーマンです! ~好きなアニメ~ ヒロアカ、メジャー、クロスゲーム、進撃の巨人、ハンターハンター、弱虫ペダルなど

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